アドラー心理学による法人向け研修と個人向け講座 ヒューマン・ギルド

Topicsお知らせ

HOMEお知らせ致知出版社『1日1話、読めば心が暑くなる365人の人間学の教科書』に掲載されました

2025.11.26メディアNew

致知出版社『1日1話、読めば心が暑くなる365人の人間学の教科書』に掲載されました
ykb402@bfletsf.bforth.com_20251127_143518_0001
ichiniti_ninngenngaku

シリーズ累計40万部を突破したベストセラーシリーズの最新刊『1日1話、読めば心が暑くなる365人の人間学の教科書』。

こちらに岩井の『経営者を育てるアドラーの教え』より「『町の愚か者と迷子のロバ』の物語」が選ばれています。


岩井のブログにも紹介されています。

こちらの書籍は、月刊『致知』47年分の記事、ならびに刊行書籍から、365編の記事を収録して1日1話形式で構成されています。

その6月14日のところに岩井の著書「経営者を育てるアドラーの教え」の【共感】の部分に書かれた物語が掲載されました。

以下にご紹介いたします。


 ウォルター・ベラン・ウルフというアドラーのお弟子さんの書いた『どうすれば幸福になれるか』という本があります。私はこの本に大学時代に出合って、以来二十回以上は読んでいます。この中に、共感能力の違いについて理解させるための逸話があります。それは「町の愚か者と迷子のロバ」の物語です。

 

 ロシアのある小さな町の自慢は、たった一頭のロバだった。そのロバがどういうわけか突然いなくなってしまったので、町中が大騒ぎになった。町の長老たちの秘密の会議が招集され、三日三晩、長老たちはその席でロバがいなくなった理論上の動機と原因は何か、どうすればロバをみつけられるかをまじめくさって話し合った。重々しい空気の会議の最中、誰かがドアをノックする音が聞こえた。町の愚か者が入ってきて、ロバを見つけましたと言うのである。長老たちが集まって知恵を絞ってもだめだったのに、どうやってロバを見つけることができたのか、と愚か者に尋ねると彼は答えた。

「ロバがいなくなったと聞いて、私はロバ小屋に行き、ロバと同じように壁に向かって立ちました。そしてロバになったつもりで、小屋を抜け出してどこに行くだろうか、と考えてみたのです。それからその場所に行きロバを見つけました」

 

 この話の大事なポイントは二つあります。一つ目は、長老たちは誰一人としてロバが逃げた現場であるロバ小屋に行かなかったということです。それから二つ目は、長老たちはロバの立場ではなくて人間の立場で会議をしたということです。

 長老たちは町のエリートのつもりなのです。だから、逃げたのはロバなのに、人間の目で見、人間の耳で聞き、人間の心で感じようとしました。彼らは共感能力のない人なのです。ところが、「ロバを見つけました」と言って入ってきた町の愚か者は、最初にロバが逃げた小屋に行きました。そして、ロバの身になって考えました。彼は、ロバの目で見、ロバの耳で聞き、ロバの心で感じようとしたわけです。だから、見つけることができた。彼は町の愚か者のレッテルを貼られていましたが、共感能力のある人だったのです。

 相手の目で見て、相手の耳で聞き、相手の心で感じるとは、こういうことです。

 経営者は問題が起きたときに司令塔となって指示を出さなくてはいけません。そこで必要なことは、現場、現実、現品の三つです。三現主義といわれますが、これがあらゆる説得力の基本になります。

pagetop
pagetop